L-M BRIC NEWS
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イギリス、ロンドンのゴミ捨て場跡から12世紀の「指ループ」組紐が出土 1970 年代から 1980 代にかけて行われたテムス河畔の、使用期が西暦
1150-1450 年の間と考証されているごみ捨て場跡の考古発掘で、中世期都市生活環境における日常用具の出土品を見たが、中でも土壌環境から通常みることのまれな繊維製品が多く出土したことが注目された(注1)。そのなかに、紐端に組糸がループのままで残っていることから「指ループ」組紐とされた、紐24本が報告されている。ループ数
5 と 7 の外に10、14、20 があり、2 人組みや 4 人組みもあったことが伺われる。ヘヤーネットの結び紐、手提げの紐などの使用例が見られる。
中国雲南のループ操作技法は「掌上向き、内側指で操作」! 中国雲南省李家山青銅器博物館蔵の東漢時代のものとされる貯貝器にループ指操作技法を使っている塑像があると聞いたことが、L-M
BRIC News 発刊のきっかけであった(注3)。それだけに実物をぜひ見たいと願っていた矢先に、ワシントンの繊維博物館の中国貴州省、雲南省の小数民族テキスタイル探訪のツアーが企画されその機会が意外に早く訪れた。
タイ国少数民族ポー・カレン族とアカ族のループ操作組紐 写真2は、銀製品を特技とするポー・カレン族の村でジュエリーにする組紐を組む情景である。打ち手を兼ねる右側の一人が銀のお守りや飾りを組目の間に挿入している。手を休めてそれを見ている組み手の左右の人さし指、中指と右手の薬指にループが掛かっている。写真3で は、アカ族女の子が ループの掛け方を見せている。ここでもループは左右の人さし指、中指と右手の薬指に掛かっている。組頭をひざの間に挟んでループを張っているが、外にこの 子が同じ配置でループを持ち、もう一人の女の子が右手で組頭を持って引っ張りながら左手で組み口を叩いているの写真があり、それが普通に行われている組み 方であろう。ループを移動している場面の写真がないために、実際にループを移動するときにどの指を使うのか、そしてその時の掌の向きは決定的にはわからな いが、小指あるいは薬指(掌上向きまたは向かい合わせ、内側の指)で操作する方法を使っていると想定できる。組み手の掌は向かい合わせになっているが、こ れ以外の写真でも同様場面が多く、やや上向き、あるいはやや下向きの場面が少数あり、作業中の掌の向きは固定的なものではないことがわかる。いずれも1人 がループを指にかけて操作し1人が組織を締める役であるから、2人で組んでいることになるが、2人組みとはループを指にかけて操作する人が 2人いることを意味するので、これらの写真は1人組みのケースである。これ等の技法は既報のカレン族で用いられている方法と一致する(注4)。 貯貝器の塑像でも、Napier
さんの写真でも、ループが共に人さし指と中指にかかっていることから、ループ指操作の「掌向かい合わせ、内側の指(小指か薬指)で操作」する方法(第2
法)と想定した。このループ配置は、第2法の初期配置、即ちループ移動を始める直前の配置である。ところがこのループ配置は、「掌向かい合わせ、外側の指
(人さし指)で操作する」方法(第1法)でループを移動した直後の状態と同じである。従って厳密には、このループ配置のみからではいずれの方法を使ってい
るかの決定はできないのである。しかし技法を実行してみれば、ループ移動の後でそのままの状態でいることは決してなく、移動後ただちにループ「差し替え」
が行われることが解る。従ってこれらの写真に見られるような「待ち」の間にはループは初期配置状態になっているものとして間違えることは少なく、第2法で
あると想定できるのである。
特別寄稿 "OLD ENGLISH PATTERN BOOKS FOR LOOP BRAIDING" について(注5) ノエミ・シュパイザー 本書はイギリスの上流婦人たちが遺した組紐技法の記録2種を典拠とする。
‡(編集者蛇足)The Tollemache Book of Secrets は、従来からイギリス中世期研究の文献として著名であったが、その中の 'The Treatise on the Making of Laces' がループ操作技法の記録であったことは、Speiser の研究で初めて明らかになったものである。この「秘伝」には17世紀の技法からも、従来の採録技法中にもなかった手順が含まれていて、ループ指操作技法のレパートリーが大きく広がったことが注目される。 ループ操作組紐を記録するための主要視点リスト
ループ指操作法の二つの展開方向
発展方向1を代表する、角組(ニュース第2号 図3)(4畝筒状綾織組織組紐)、2本の2畝綾織組織平組紐同時、4畝綾織組織平組紐(今号に解説)の組み方では、操作指と移動ループが掛かっている指との間にある全てのループを「通す」綾をとる。2層組成機構によって正規組織組紐が組成される。 発展方向2の組み方は、指操作法のみに見られるもので、操作指と移動ループが掛かっている指との間にあるループを「通す」、「逆通し」、「越す」のいずれかをまぜて綾をとる(この順である必要はない)もので、不正規組織組紐が組成される(第2号、図2、4、5、6及び本号)。
イラストL-M 指操作 組紐技法入門シリーズ; 一般事項解説 no. 3 正規組織組紐
‡シュパイザーさんの新著購入に関するお問い合わせはセンターまで。mkinoshi@twcny.rr.com
謝辞:
L-M BRIC News はループ操作組紐技法の知識と理解を広ろめるため、年1回発行、印刷版を無料で配付しています。御希望の方は編集者までお知らせください。但し御理解者の献金は歓迎します。
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