L-M
BRIC NEWS
イラスト L-M 組紐技法入門シリーズ
基礎事項・用語・図解解説
本L-M 組紐技法入門シリーズでは、L-M BRIC ニュース各号に掲載する手順のみを扱う。技法の更に詳しくは、文献を参照(注1)。
組紐に用いる素材
組紐には洋の東西を問わず絹糸が使われることが多いが、作成中のストレス
に耐えられる素材であれば、材を問わない。種々の素材を試すことでそれぞれに異なる効果があることを知り、自分が求める結果が得られる素材を選ぶことであ
る。また素材の効果は絹、毛、木綿等の種類によるだけではなく、1本の糸にかかる撚りの向き、度合い、何本撚りであるか、さらに組糸が数本の糸からなる
か、多数本からなるか、なども大きく関係する。組紐はまず第一に如何に組目が整っているかで評価されるが、組目が隠れて色調のみが表にでる様な素材、例え
ばシュニール糸や裂き布などを使った効果を狙うこともできる。
練習用には、太めの毛糸1本取り、3番または6本取りパール刺繍糸を2本取りにしたものなどが適当であろう。滑らかで強い糸を適当な太さになるように数本取りにして用いればよい。けば立ちやすい糸や、シボの多い糸は不向きである。
ループの準備
ループ数5の手順では、組糸数10を使った組紐ができる。つまり10本の糸束で所要の太さの組紐が作れるように、ループに使う糸の太さをきめる。
素材の糸を手の回りに適当回数巻いてから抜き取り、その束を出来上がりの紐の堅さくらいになるまで捻る。その時の糸束の太さが(巻き回数×2)本で組んだ紐のおおよその太さになる。目的の太さになったら、その時の巻き回数を確認する。
図1-1 ひと繋がりの糸でループを作る:素材の糸をループの本数に相当する回数綛に巻き、1端をまとめてしっかりと一重結びにして組頭とする。綛は1周が目的の紐丈の約4倍の長さになるように巻く。
または、紐丈の約4倍の長さにループ数だけ糸を切って、切った両端をまとめて結ぶ。
図1-2 ループ丈に切った組糸の端を2本づつ結んでつなぎループに作る:目的の紐丈の約2倍の長さにループ数×2本切る。一端を束ねて結んで支柱に固定し、他端を2本づつ結んでループに作る。2色、或は2種類の糸からなるループが作れる。
図1-3 ループ2本を絡めて2色ループを作る:アンデス地方で使われる方法。作業中にループがほどけてしまわない。(注2)

図2 指操作技法(Finger-held
L-M)と手操作技法(Hand-held L-M)

図3 F-H L-M 組成技法のループを持つ時の掌の向きによって異なる3法、操作指、及び移動ループ
第1法:「掌向い合せ(または上向き)、人さし指で操作」 または「A型組み口法」(注4)
第2法:「掌上向き(または向い合せ)、内側の指(薬指か小指)で操作」(注5) または「V型組み口法」
第3法:「掌下向き、内側の指(人さし指)で操作」
(これもV型組み口だが「掌下向き」法として区別する)

* 「掌の向き」は一応の指標であって、現地で実際に作業しているのを観察すると、掌の向きは上向きから向かい合わせの間を自由に行き来する。
* 第2、3法は、第1法の逆操作である。つまり第1法で組んだ組紐は、第2法か第3法でほどくことができる。
* 採録または見聞報告では、第1法は北アフリカ、中南米、及びヨーロッパに見られる。第1法はまたヨーロッパ各地で12世紀から17世紀にわたり使われていたことを示す資料がある。(注6)
* 第2法はインド、日本、ロシア、タイで現行されているという報告がある。紀元前1世紀頃に中国南部で用いられていた方法も第2法と推定される。(注7)
* 第3法はスカンジナビア地域(デンマーク領フロエ島、ラップランド)から報告されている。
* 本シリーズでは、トピックに出てくる方法のみついて解説し、必要がない限りそれに対応する他法をその度に加えることをしない。特に第3法はトピックに上ることは少ないので、関心がある向きには、Ann
Dyer 著PURSE STRINGS UNRAVELLED を参照することをすすめる。(文献)
イラスト解説に用いられる用語
図4-2及び4-3 「ループの足」、ループやループの足を指定する場合に用いる用語を図解で示す。ループを指に掛け手を構えた時のループの相対的な位置関係で表現する。


組み方概要:
1.まず、操作指でそれと移動ループの間にあるループの綾を1本づつ取る(例えば「通す・通す」)。
2.その操作指(右)で移動ループ(左)を取る(例えば「開」)。
3.操作指を綾の中を通して引き抜く。移動ループが左手から右手の操作指に移動する。
4.(左手の)ループを差し替える。操作指が左手になる。
次回は逆向きにループが右手から左手に移動する。この操作を繰り返して紐を組む。
左からと右からのループ移動に、ループの取り方(開」又は「閉」)を左右とも同じ(共に「開」又は「閉」にするか、左右で異なる取り方をするかで、3種類の異なる組紐ができる。
つまり同一の綾で、3種類の紐が作れるのである。
正規組織組紐
綾を全て同じ取り方で取れば、正規組織組紐が組成される。「普通に」見られる組紐の殆ど全て正規組織組紐である。
不正規組織組紐
綾の取り方には上記3種類があるが、この3種類のいづれかを一回の開口に混ぜて取れば不正規組織組紐になる。この様な綾は指操作法では非常に都合よくの取れるが、他の技法でこの様な組織を組むのは非常に面倒である。従ってこのような組紐が発想されるれるのは指操作法に限っているという意味で、不正規組織組紐は指操作技法の「目印」になるのである。
図6 ループ初期配置
大多数の指操作法組紐に用いるループ数は採録記録では5の場合が多いが7の場合もある。原理的には偶数でもよく、8まれには9の場合もある。
指操作法の組み方
操作1 操作指(右)を使って、操作指と移動ループ(左)の間にあるループの綾を取る(「通す」、「逆取り」、「飛ぶ」)
操作指で移動ループの上糸を掬い取る(「開」) 或は上糸を上から引っかけて取る(「閉」)。
移動ループが操作指に移る。
「開」移動すれば操作指の上糸は移動後にも上(外側)糸である。
「閉」移動すれば操作指の上糸は移動後に下(内側)糸になる。
操作2 ループを差し替える。それには、移動ループ が取られて空いた指を、すぐ隣のループに差し込み、代わりにそのループがかかっていた指を抜き取る。今抜き取った指を次の隣のループに差し込みそのループ がかかっていた指を抜き取る。操作指が空き指になるまで順に繰り返す。ループ数が5ならば、2回目に抜き取った指が次の操作指である。
操作3 操作指(左)を使って、操作1と同様に操作指と移動ループ間にあるループの綾を取る。
操作4 操作2と同様にループを差し替えて次回操作指を空き指にする。
操作5 両腕を広げて組糸束を強く引く、或は組み口を足で押すなどして、組み目を締める。助手がいれば、組み口を打箆で叩いてもらう。
シリーズ中の個々の手順解説には、操作3は、操作が単に操作1の左右を入れ替えたものでない場合にのみを記載する。
操作2、4、及び5は記載を省略する。
上記を方法別に対照させて書けば次の様になる。
| 第1法 | 第2法 | |
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径路図
手順図解の上にその手順で組成される組紐を径路図により表示してある。
径路図はシュパイザーが提唱する組紐構造のグラフィック表示法である(注
1)。径路図を通して糸の動きとその結果組み立てられる組紐の構造との関係を直感的にとらえることができる。文字で表す代わりに、径路図によって組紐に組
込まれるループの動きを理解することもできる。径路図に慣れていない人は、例えば、何本かの平組紐がどのように組み合されて1本の複合組紐になっているか
を図形にしたものとして納得してもらえばよい。その場合に複合の基本因子である2畝、4畝、或は6畝などの平組紐は、2目(8の字)、3目、6目などの径
路で表示される。円、又は楕円等の1目閉曲線は螺旋体を表示する。